理念

20世紀後半に始まる情報革命は人類が直面する複雑かつ困難な課題に新たな解決方法を与えただけでなく、新しい価値創造のための手段も与えてくれました。さらに21世紀になり、自然・人間・社会・人工物の複合体から膨大な情報(ビッグデータ)を手に入れ、それを直接処理して価値ある知見を得ることを可能とし、人類にこれまで想像もつかなかった新しい価値を提供する可能性を示しました。その一方で、情報革命は人類の抱える問題とその解決をより複雑なものにしたとも言えます。もとより、人類が直面する問題は、自然・人間・社会・人工物が絡まり合うことで生み出されてきたものであり、こうした問題の解決は、単独の分野に委ねることはできないものです。これに膨大な情報が加わることで、問題はさらに複雑さと困難さを増したと言えます。

 

情報革命を経た人類が、問題解決と新たな価値創造を実現するためには、情報科学そのものを伸長し再生させる必要があり、我々が目指す究極目標は、新しい「情報学」の創出に他なりません。以上を踏まえて、我々の喫緊の課題は、情報学の新しい地平を開拓し、新たな情報学を構築できる研究者、あるいは文理の壁や異分野の壁を軽やかに乗り越える情報学的素養を身につけた各分野の研究者の育成、そして、情報化した世界のさまざまな場面で、情報学的素養を活かして複雑な問題解決に挑む人材の育成であると考えました。そして、このような人材養成にこたえていくことが重要な社会的なミッションであると認識し、情報学部と大学院情報学研究科を設立しました。

 

情報学部は、情報科学技術に関する基礎知識・適用能力と、自然や社会をシステムとして普遍的に理解する能力を涵養することにより、システム思考に基づいて人類の直面する課題を解決し、新しい価値を生み出せる人材を育成します。また、自然科学、人文社会科学、工学、数理科学、コンピュータ科学、メディア科学、データ科学、複雑系科学、人間科学、生命科学等様々な視点から「情報」を捉え、「情報」を学問として体系づけるとともに、領域の融合による新しい情報学の発展を目指します。

 

大学院情報学研究科は、革新的な情報科学技術と、システムとしての自然や社会に対する普遍的理解とを駆使して、人類の直面する課題を解決し、新たな価値を創造するための総合的学問、すなわち情報学を構築し、その研究を推進します。そして、情報学の深い理解に基づき、情報科学技術の革新に寄与できる人材、情報科学技術をコアとするものづくりの仕組み、社会・組織の仕組み、意思決定の方法、科学研究の方法等を総体としてデザインできる人材を養成し、人材養成を通じても人類社会に新しい価値を提供します。

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