男女共同参画推進

情報学研究科の男女共同参画について

名古屋大学では2003年1月に「男女共同参画室」が設立され、男女共同参画に関する様々な取り組みを実施しています。このサイトでは、情報学研究科で 現在活躍中の女性教員を紹介しています。この教員らが呼び水になって、女性教員を目指す方が増えていくことを期待しています。

2018年4月
情報学研究科長 村瀬 洋

吉田 久美(よしだ くみ)教授

複雑系科学専攻 生命情報論講座
名古屋大学大学院農学研究科博士前期課程修了 農学博士
研究分野は,天然物化学、生物有機化学、植物化学

 

創造的な研究環境で好きなことを一生懸命に
アントシアニンによる花色発現の解明に挑んでいます。現在のテーマはアジサイの花色の変異。アジサイは環境などによって花色が変化することで知られていますが、その仕組みはわかっておらず、細胞の分析を進めています。
また、アントシアニンの健康効果や発電性能に注目し、有機化学合成の研究も行っています。こうした研究活動を振り返ると、常に志向してきたのは、創造型の研究です。 その都度、必要なことを学んだり、研究手法を限定せずに共同研究に取り組んだりして、新たな疑問や興味を次の研究へ発展させてきました。そういう意味では、情報科学研究科は最適の研究環境。コンピュータサイエンスやメディア科学、社会システムなどの幅広い分野から、性別も国籍も出身も異なる多様な人材が集まる場所だからこそ、創造的な研究が生まれると感じています。
私の場合、当初の研究環境は恵まれたものではありませんでした。生命科学に興味を持って農学部に入り大学院に進学しましたが、当時、その研究室では初の女子学生。企業に就職した際も、修士卒の初の女性研究員という肩書がついてまわる時代で、女性ゆえの悔しさも経験しました。 でも、鈍感力が長けていたのか(笑)、自分が置かれた環境を気にしてもきりがないと、ただ好きな研究を夢中になって続けてきました。それが結果として一生の仕事になり、今はとても幸せです。これから研究者を目指す女性の皆さん、好きなことを見つけて一生懸命やりましょう。今いる場所で全力を尽くせば、きっと道は拓けるはずです。

 

浦田 真由(うらた まゆ)講師

社会情報学専攻 情報社会設計論講座
名古屋大学大学院情報科学研究科 社会システム情報学専攻 博士後期課程修了 博士(情報科学)
研究分野は、電子社会設計論、社会情報学、観光情報学

研究のやりがいや魅力を伝えていきたい
地域・観光・教育等のコミュニティにおける社会的課題を対象に、情報通信技術を活用した社会システム設計および有効性の評価に関する研究を行っています。
私の場合、最初から研究者を目指していたのではなく、学部3年生の夏までは、就職も考えていました。しかし、丁度その頃、愛・地球博をインターネットで紹介する学外活動に携わり、色々な人と出会い、貴重な経験をする中で、このまま就職をしても何か違うと思うようになりました。大学教員の父やゼミの恩師が大学院を勧めてくださったこともあり、もっと自分を磨いて自信をつけたいと思い、名古屋大学への進学を決めました。
進学後は、電子社会設計論を学び、“社会の中で情報技術をどのように利活用するのか”をテーマに、地域・観光・教育等の様々なプロジェクトに関わってきました。人々を幸せにする情報社会を設計するためには、色々な人たちと触れ合い、そこで本当に必要とされている情報技術を上手く活用する必要があります。これらの取り組みを実践し、多くの人に喜んでもらえることが研究に対するモチベーションの維持に繋がっています。
研究職の一番のメリットは、自分の好きなこと、やりたいことを仕事にできるということです。当然、そのためには日々、色々なことを学び、試行錯誤を続けるなどの努力が必要となりますが、自分の興味や関心のあることなので、それほど苦にはなりません。私の研究室では、常に外との繋がりを持って、実践的に進めていることもあり、思うように進まないことも多々あります。しかし、最近では自治体や企業等との社会的な取組みが増え、研究者として常に新しいことに挑戦できるので、やりがいを感じています。情報学研究科では、そんな研究のやりがいや魅力を女性としての立場で伝えていければと思っています。

 

張 賀東(ちゃん ふうとん)准教授

複雑系科学専攻 物質情報論講座
名古屋大学大学院工学研究科電子機械工学専攻博士後期課程修了 工学博士
研究分野は,ナノ物理現象のシミュレーション、ナノ計測 、ナノトライボロジー

常に新しいチャレンジができる。それが研究職の醍醐味です
高校時代、実は文系の方が得意だったんです。でも、文理選択の際、「理系科目が苦手なわけじゃない!という反発心がわいてきて、理系の道へ進みました。名古屋大学で出会ったのがナノテクノロジーの研究。その面白さにひかれて研究者になり、現在はPCなどに使われる磁気ディスク装置(HDD)の表面に塗られているナノ厚さ潤滑膜の性能向上の研究に取り組んでいます。目指すのは、大容量化や省エネにつながる次世代HDDの潤滑技術の確立。一層の膜に2つの機能を両立させる技術や3次元テクスチャーの開発など、独自のアプローチから研究を進めています。
現在の研究環境の魅力は、一言で言えば「自由」。誰もが気楽に意見交換ができ、個々の研究者が独立して自分のテーマに打ち込める風土が広がっています。私は子どもがいるので子育てしながらの研究。時間が限られるので大変ですが、論文執筆やデータ分析は自宅でもできるため、大学の研究者は育児と仕事を両立させやすいのではないでしょうか。 学校の行事や子どもが病気になったときに休みが取りやすいのも、自分のスタイルで仕事ができる研究者だからこそです。研究は地道な作業の繰り返し。ただ、実験データの中に新しい現象を発見したり、その原因が自分の考え通りだったりしたときは、本当にうれしくやりがいを感じます。また、研究職のように自分がやりたいことに常にチャレンジできる仕事は、世の中を見渡してもそうそうありません。あのとき理系の道を選んで良かった、研究者になって本当に良かったと実感しています。

 

石井 敬子(いしい けいこ)准教授

心理・認知科学専攻 心理学講座
京都大学大学院人間・環境学研究科博士課程修了、博士(人間・環境学)
研究分野は、社会心理学、文化心理学

「当たり前のことが全く当たり前ではない」が導く知的好奇心
心理学とは、心の法則を見つける学問です。特に実験系の心理学では、各人の行動や考え方・感じ方の主観報告の集積からでは見えてこない心のメカニズムを実証的な方法(実験、調査、観察など)によって明らかにしようとします。私自身は、社会・文化の慣習や規範が自己観、動機づけ、感情、思考などの心の性質にどのような影響を与えるのか、また、そこに生きる人々を通じてその社会・文化がどのように維持されていくのかといった点に研究関心があります。これまでさまざまな比較文化実験を行い、幅広い視点から心の性質の社会・文化依存性を検討してきました。
「自分にとって当たり前のことが全く当たり前ではない」― 社会・文化心理学の研究は、鮮やかな実験的手法と客観的なデータによってこれを如実に表します。初めて学んだ文化心理学の知見は、まさに私自身の視野を広げてくれるものでした。当時の私は農学部にいましたが、その面白さに学部を変えてその研究をやってみることを志し、結果的にその分野の研究者になりました。研究を重ねれば重ねるほど、そのカッコ書きを感じないどころかむしろ逆で、むしろそのことが知的好奇心の源になっています。
大学・大学院時代の同性の同期が2名とも研究者として活躍していて、私自身はその存在が非常に励みになっています。そのような同期の友人を持つことができ、自分はとても幸せだと思います。研究者としての自分に満足できないことは多々あるものの、社会心理学の知見を援用するならば、自身の姿は何らかの形で周囲の他者に影響を与えます。結果的に自身の研究者としての歩みが研究者を目指す(特に同性の)人々にとっての励みとなり、多少なりともの幸せを提供できるのであれば、それは私にとって望外の喜びです。

 

小川 明子(おがわ あきこ)准教授

グローバルメディア論講座
東京大学大学院人文社会系研究科博士後期課程中退 学際情報学博士
研究分野はメディア論,メディア・リテラシー

あなたにしかできない研究、そしてあなたにしかできない生き方を
私は大学を出てすぐにマス・メディアに勤務しましたが、当時(90年代後半)は女性の仕事がまだ限られており、またこのまま企業勤めをしても子育てがしにくいだろうと考えていました。しかしメディアの世界も大きく変わり、女性の出産・育児はめずらしいことではなくなり、世界的に見れば女性による戦場報道もごくごく普通のことになりました。この20年、女性たちが小さくとも声を上げ、一人一人が自由を押し広げていくことで、環境が少しずつではあれ変化してきたこと、そして女性の進出が、社会に新たな視角やアイディアをもたらしていることを実感しています。世の中の半分である女性たちが貢献できること、そして世の中の半分いる女性たちのために貢献できることはまだまだたくさんあるはずです。
実際、研究職は、「きれいごと」と言われがちな社会貢献が可能な仕事であるだけでなく、男性と同等に仕事がしやすい領域のひとつだと思います。とはいえ、正直なことを言うと、私自身、子育てや介護を引き受けながら研究を続けてきて良かったのか、中途半端だったのではないかと悩むことはいまだにあります。研究の世界ではたとえ平等だとしても、パートナーの仕事次第で女性のほうが辞める選択をせざるをえない社会的状況もまだまだあるでしょう。しかしきっと研究者の先輩たちも同じような思いを抱えながら、各地で道を拓いてくださったのだと思います。その踏み固められた道が、私たち、そして若いみなさんの前に豊かに広がっています。研究の世界には、女性の生き方をめぐるロール・モデルが多様に揃っているのも大きな魅力。ぜひ、あなたにしかできない研究、そしてあなたにしかできない生き方をこの大学院から始めて下さい。

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