国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学大学院情報学研究科の川合 伸幸 教授らのグループは、一人で食事をするときには、誰かが話しているのを聞きながらのほうが、話し声がないときよりも、おいしく感じることを明らかにしました。
これまで一人で食事をするより誰かと食事をするほうが、おいしく感じるということが知られていましたが、人の音声が、どれほど一人の食事のおいしさを高めるか不明でした。
本研究では、大学生を対象とした三つの実験を行いました。その結果、映像に人が映っているかどうかにかかわらず、音声が提示されているときによりおいしく感じ、摂食量も増えたことが分かり、人間の「音声」が聞こえることが、一人の食事をおいしくすることに重要であることが示されました。
現在の日本では、多くの高齢者が一人で食事をしており、高齢者の高頻度の孤食注1)は、鬱との関連が指摘されています。この研究は、モニターに人間が映っているかにかかわらず、ラジオのように人の話し声が聞こえると一人の食事がおいしくなることも示しています。病院等で孤食している人の食事の質を高める可能性があります。
今後は、オンラインの会食などでも、同じような効果が確認されるかを確かめる予定です。
本研究成果は、2021年8月26日付科学誌「Appetite」に掲載されました。
https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2021/08/20210830-i.html