プレスリリース「ブテンを原料に天然物のコードを紡ぐ ー新触媒が拓く医薬リード分子の迅速プログラム合成ー」

・単純で入手容易な原料から付加価値の高い物質を、環境に負荷をかけずに短工程で効率的に合成する方法が希求されています。

・クリーンな光エネルギーを駆動力として、石油由来の炭素資源であるブテンを原料に、多くの医薬品を構成するポリオールをプログラムして短工程で合成する触媒を開発しました。

・本研究は、持続可能性のある社会を支える分子合成技術として、クリーンで高効率な医薬品供給などへの幅広い応用が期待されます。

 

東京大学 大学院薬学系研究科 金井 求 教授、三ツ沼 治信 助教らの研究グループは、名古屋大学 大学院情報学研究科 東 雅大 教授と共同で、石油由来の「ブテン(注1)」という手に入りやすい原料を使って、「ポリオール(注2)」と呼ばれる医薬品や天然物によく見られる有用な物質を効率的に合成する方法を開発しました。ポリオールは、抗生物質や抗がん剤といった医薬品にも含まれる重要な構造要素で、複雑な立体構造を持っています。この立体構造は生物活性を左右する暗号(コード)の働きをしていて、目的の医薬効果を得るには、このコードを正確に紡いで合成して行く必要があります。そのために、従来の合成法では多くの労力が必要で、廃棄物もたくさん出てしまうという課題がありました。

本研究では、光を使った新しい触媒技術を活用し、ポリオールのコードを思い通りにプログラムしながら、従来よりも格段に短い工程で、環境に優しく作ることに成功しました。この成果は、持続可能性のある社会を支える分子合成技術として、クリーンで高効率な医薬品供給などへの幅広い応用が期待されます。

https://www.nagoya-u.ac.jp/researchinfo/result/2025/10/post-888.html

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